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新企画『オトコノキモチ、オンナノキモチ』第一章 さおり編

私の名前は加藤さおり。30歳である会社のイベント企画部に勤めている。 自分のスペックを考えると、そこまで悪くないと自負している。

見た目には気を遣っている方だし、自立している。人と話すのも不得意ではないしすぐに打ち解ける社交性も持っている。 新卒で入ったこの会社でも責任感を持ち仕事をしてきたおかげで今は少人数ではあるが自分のチームを持ち役職もある。

仕事自体が面白く、これまで交際していた彼氏も数人いるがみんな最終的に専業主婦になって欲しいという男性ばかりで結婚には至らなかった。 今はもっと会社での自分の存在価値を高めたい。そう思い自分のキャパより少しだけ難しい仕事にもチャレンジしてきたのは今の職が自分に合っているのだと思う。プラス、企画部部長の石川さんの存在が大きい。

石川さんは右も左も分からない私に教育係としてついた上司で当然ながら仕事ができる憧れの人。 左手のくすり指に光るものは最初から目に入っていたが、恋愛感情が湧くことにさほど時間はかからなかった。 不純な動機かもしれないが、20代の私は石川さんとの接点がたくさん持てることが嬉しくて色んなことを相談した。 成功したら褒めてもらえたし、失敗しても細かいアドバイスをくれて片思いしていた時は、特に会社に行くのが楽しかった。

私の片思いが一方通行ではなくなったのは2年前だ。

どうしてもその日に仕上げておきたい資料があって休憩も惜しんでガムシャラに終わらせた日、たまたま残っていた石川さんに食事に誘われた。とても疲れていたけれど憧れの人のお誘いを断る理由はない。

空腹にお酒が沁みて思いのほか酔いが回ってしまった。いや、今思えば実はそこまで酔っていなかったのかもしれない。

正直、石川さんとどうにかなってしまわないかなという期待も私の方にはあったのだと思う。

アルコールの勢いも借りながら私の好意もダダ漏れだったのだろう。その日に男女の仲になった。

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いつもん
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